普及が進んでいるカーシェアリングですが、市場で大きく勢いを伸ばしているのは、タイムズカープラス、オリックスカーシェア、カレコ・カーシェアリングクラブの3社です。
ところが、最近では、これら3社に対抗するかのように、大手自動車メーカーが次々とカーシェアリングに参入しています。
そこで、自動車メーカーにとってのカーシェアリングのメリットを考えてみましょう。
カーシェアリングの普及は自動車メーカーにとって痛手になりそうなものです。
なぜなら、マイカーをやめてカーシェアを始める人が増えれば、その分、車を購入する人が減るわけですから、自動車メーカーにとっては死活問題でしょう。
ところが、メーカーによると、カーシェアリングよりももっと危惧すべき問題があると言います。
それが若者の車離れです。
若い世代で車に興味を持たず、運転しようとも思わない人が増えると、将来的には自動車メーカーの存続問題になります。
そこでメーカーは、若い世代に車の楽しさを知ってもらうために、まずは運転してもらおうと考えました。
その第一歩がシェアリングなのです。
カーシェアで実際に車を運転した若者のうち、何%かでも自社の車を気に入って購入してくれたらという思惑から、自動車メーカーが最近カーシェアリングにどんどん参入しているわけです。
大手メーカーの取り組みをいくつか紹介します。
ホンダは2017年から「エブリゴー」というシェアリングサービスを始めました。
まずは東京、大阪、神奈川のみですが、人気のN-BOXなどのハイグレードモデルを新車で用意し、自社の車の魅力を知ってもらおうとアピールしています。
日産では、ノートeパワーやリーフなど自社の自慢の電気自動車を利用した「e-シェアモビ」というシェアリングサービスを2018年1月から展開中です。
また、トヨタでは、2019年4月から本格的にカーシェアリングサービスに乗り出す方針を明らかにしています。
実際、タイムズとも業務提携済みです。
現在は、タイムズカーシェアで自社のC-HRを使ってもらうことで、位置情報や航続距離などのデータを収集しています。
自動車メーカーは、カーシェアリングを一種のショールームと考えています。
確かに、最新モデルの車の魅力を知れば、カーシェアだけでなく自分でも所有したいと思うのも自然なことでしょう。
今後も各メーカーの取り組みに注目したいところです。
(2019年現在)